『ザ・ヤクザ』って70年代の映画なんだけど、仁義を切るのって英語にすると面白い。
ちなみに、この人が某事務所に行き、相手側に自己紹介している場面。
仁義を切る口上と比べると面白い。
【1枚目(この人)】自己紹介させてくれ(お控えなすって)
【2枚目(事務所側)】まず私たちの紹介をさせてくれ(あんさんからお控えなすって)
【3枚目(この人)】無理。先に紹介されちゃアンタたちの立場の方が上って事になる(それじゃ仁義になりません。あんさんの方がお控えなすって)
【4枚目(事務所側)】分かったよ(お言葉に甘えて控えさせてもらいます)
日本文化の奥ゆかしさというか、言葉の裏側は『オレの方が座布団高いんだから、先に紹介させろって』ってのを暗に言っているのが『仁義を切る』ことの受け答え。
つまり、相手を控えさせて、自分が先に名乗る事が、相手との格を決める要素ってこと。
「お言葉に甘えて」と言っているが、本心はそんなことは思っていない(笑)京都の「お茶漬けどうぞ」は帰ってくれって意味があるらしいけど、同じ感じかな^^;
格の違いは、お互いの組織の大きさやプライド、お互いの相手に対する実力の認知で変わるので、本来は、4枚目の『控えさせてもらいます』の様に、こんな簡単に1発で終わらず、控えるまでお互いの問答がある。
4枚目の時、例えば相手側は
『いえいえ、太陽は東から登ることはあっても、西から登ることはございません。あんさんの方こそお控えなすって』
と、返す。
で、言われた側のターンのときは
『いえいえ、川の水は上流から下流へと流れるのが自然でござんす。決して下流から上流へ流れることはございません。あんさんの方こそお控えなすって』
となる。
で、お互い引くまで長時間『お控えなすって』の攻防は続く事もあり、抗争にまで発展することもあったそうです。
昔は旅打ちの際に、この仁義の口上を覚えておく必要があり、暗記して旅に行っていたそう。
『極道は、馬鹿じゃなれず利口じゃなれず、中途半端じゃなおなれず』って言われるけど、個人的に興味をそそられるしきたりです。
昔の職業も面白いですよ。