筑豊の炭鉱から産まれた「スカブラ」という役目|今の時代に重宝される「サボる人間」の大事さとは?

僕は、九州は福岡(博多や天神)から約1時間の所の飯塚という、山に囲まれた盆地、通称修羅の国などと言われてる、炭鉱が栄えていた地域に住んでいます。

昔の色んな話が好きなんですよね。

今日は炭鉱地区、筑豊地区の方言から産まれた「スカブラ(仕事が好かんでブラブラする奴」」が、最近注目されているという話です

思春期の高校生で、プライドが高く、心の襟をギンギンに立ててたら、こんな行動は出来ません。僕の高校時代を思ったら、ここまで出来ない自信があります。

コロナ警察、自粛警察、SNSのステロイド警察が多い世の中、スカブラの立ち位置って、今の時代は逆に価値がある気がします。古き日本、義理人情の人付き合い。そんな話です。

さて、筑豊地区、炭鉱で栄えた地域なので、荒くれ者が多いです。

仁義なき戦いで出てくる、伝説のヤクザ「夜桜銀次」がゆすりに来ていた炭鉱夫あがりの社長も飯塚の人間。とにかく荒いのは、川筋者(筑豊の男をこの様に言う)の特徴であり誇りみたいな文化が根づいている地域です。

たっくーさんが言ってますが、

  • 福岡市・・チャリに鍵を掛け忘れると盗られる
  • 北九州市・・チャリに鍵を掛けていても盗られる
  • 筑豊(飯塚、田川の総称)地区・・チャリに乗ってても盗られる

っていう修羅の国ですww

福岡で昔から都市伝説の様に伝わる「筑豊ナンバーには近づくな」でお馴染みの筑豊ナンバーでもあります(笑)

子供の頃からズッと筑豊なので、周りが言うような所ではないのですが、なぜかその様な見方をされる筑豊という地域です。

盆地なので、当然海などは無いのですが、北海道と2つ(厳密には3つ)しかない「鮭神社」があったり、一夜城があったり、不自然な地域です。

筑豊の炭鉱から産まれた「スカブラ」

マーケティングの本などを読んでいる人なら知ってるかもしれないけど『スカブラ』って言葉があります。

吉本興業の芸人の「てつみち」は、スカブラ芸人として色々な企業に出向いていたりします。

今は全国的に『スカブラ』って知られてる??けど、語源は筑豊の炭鉱で、仕事嫌いでブラブラしてる人のことを指します。

「仕事好かん(すかんというのも博多や筑豊の方言で、嫌いという意味)でブラブラしてる人」って方言の短縮の造語で、炭坑夫は愛を込め『スカちゃん』とか言っていたそうです。

炭鉱で坑内へトロッコで行く時のグループのスカブラの役目はシンプル。

炭鉱の坑内にトロッコで10人で入り、9人作業する人と、残り1人がスカブラっていう1つのチームで行動します。

スカブラの役目は、一生懸命仕事している9人に対し、仕事もせずにバカ話を言って場を和ますだけです。一切作業はせずに、話すだけ。

ベラベラ話す人の事を福岡の方言で「アゴたん」といい、「アゴだけ」「アゴたんだけ」みたいな感じで、若干バカにされるイメージです。

スカブラの作業着はスタイリッシュ|汚れない

話は変わりますが、炭坑夫達は、坑内には裸とフンドシで入坑します。これまた筑豊の炭鉱夫を書いた山本作兵衛さんが有名です。

山本作兵衛炭鉱記録画 | ライブラリー | 北九州市東田ミュージアムパーク
作兵衛画を英米で展示 五輪控え文化アピール 歌手鈴木さん尽力|【西日本新聞me】

当時、炭鉱夫達のオシャレは作業着です。

鳶職人の足袋、など現場仕事されている方は、道具のこだわりがあると思いますが、当時も全く同じだったそうです。

アイデンティティを出したいイナセな若い職人の炭坑夫達の唯一のオシャレは、汗拭くための手拭い。

余談ですが、イナセとは「鯔背」と書き、ボラの背中の模様の様な頭の事です。寅さんのタコ社長の髪型。

昔の江戸のノリ職人サンたちが好んでしていた髪型で、職人の粋な行いの事を髪型から転じて「イナセだね~」というようになったそうです。

話を戻します。

炭鉱夫9人とスカブラ(スカちゃん)1人の10人がチームになり、トロッコで坑内へ入ります。

トロッコに乗り入坑(地下)する時、真っ白なパリッとした手拭いを首に巻くのが、当時の炭鉱夫達の出発の見せ場。

地下に入坑するとしばらくは地上に出てこれません。

だから、みんなが見てる、トロッコで地上から地下へ入る時が、唯一の個性を出すポイント。

いわばネクタイ的、職人の腹巻き、足袋等と同じ感じで、昔の炭坑夫達は、パリッと洗濯した真っ白の手拭いの折り方、手ぬぐいの首の掛け方までこだわって個性を出し、イキな所をアピールしていたそう。

もちろん、仕事をするので大量の汗をかくので、すぐに手拭いは真っ黒になります。

しかし、アゴだけのスカブラは炭坑夫達と違い、汗も少ない為、炭鉱のスミが皮膚の表面に付き、汗て流れずに顔についたままで顔が真っ黒だったそうです。

で、手拭いは汗も拭く機会も少なく、真っ黒にならない。

汗をかき顔を拭く炭鉱夫達は、時間が経つに連れて「顔はキレイ、手ぬぐいは真っ黒」になり、スカブラ(スカちゃん)はその逆で「顔は真っ黒、手ぬぐいは使わないから白のまま」ってていう、肌の色と手拭いの色が、炭坑夫達とオセロの様に逆になっていくそうですww

だから、時間が経つと

  • 炭鉱夫9人・・汗で肌が露出して、その汗を拭く手拭いは真っ黒
  • スカブラ・・汗かかないのでスミが身体中につき真っ黒、手拭いは使わずにキレイ

ってなり、他の人達は、そのグループでスカブラが誰かすぐにわかったそうです。

炭鉱経営者としては厄介者のスカブラって役職

経営者からすれば、9人の炭鉱夫よりも10人の炭鉱夫の方が生産性が上がると思うのは当然です。

で、そのスカブラの存在を知った炭坑の上役達が、『そんな、人件費が勿体ない!!サボってる奴を坑内に入れるな!!10人とも働かせろ』って言ってスカブラを廃止したそうです。

すると、逆に10人で働いた方が圧倒的に生産性が下がったそう。

そういう話が広まり、今、いろんなリテラシーの高い職場で『スカブラ』というポジションでの人的補強とかもあっているそうです。

今では、吉本興業のてつみちさんなんかが「スカブラ芸人」として活躍してますよね。話を聞くだけの仕事みたいな。

緊張と緩和。

弦も緩めないとダメになるのと同じで、人間の精神もしかり。特に今のコロナでは自粛警官と呼ばれる、揚げ足を取るコト、批評する事に命をかけてる人も多いから精神的にまいる人も多いと思います。

東京プロのタイミングでステ語ったり、あいつはステ使ってるんだぜ!って歪んだ承認欲求だったり謎の正義感だったり、意味不明な人も多いですよね^^;。

昔の炭鉱は危険極まりない所だったのです。実際、近くのデカい炭鉱は100人位が生き埋めになる事故もありましたしね。

炭鉱が栄えていた時代、今みたいに安全対策のない時代に坑内に入ったら、生き埋めのリスクが常にあり、今日の夜には家に帰れないかもしれない、子供の顔見れないかも・・って恐怖を毎日感じる仕事が炭鉱夫。しかも、真っ暗な地下の職場。

人間の体内時計は太陽の光でジャッジする仕組みなので、想像以上のストレスだったと思います。

以前働いてた天神の洋服屋がイムズビルに出店した時、イムズに1年居たけど、路面店からビルに職場が変わったストレスは半端なかったから気持ちはめちゃくちゃわかります。

光は本当に大事です。

つまり、そんな悪環境の炭鉱っていう職場において、スカブラの存在はかなり貴重だったんだと思います。

だからこそ、自分たちは一生懸命に石炭を掘ってる最中に、アゴだけ動かしてサボって仕事しない様なスカブラの人を『スカちゃん』って親しみを込めて呼んでたってのも理解できますよね。

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